後悔しない車種選び:維持費を賢く節約するための確認事項
はじめに:維持費は「車種選び」から始まる
車の購入は大きな決断ですが、購入費用だけでなく、その後の「維持費」も長期的な家計に影響を与えます。特に年金収入を中心に生活されている方にとって、毎月の維持費は気になる負担の一つかもしれません。
実は、車の維持費を抑えるための第一歩は、購入する「車種選び」にあります。車の種類によって、その後の維持にかかる費用は大きく変わってくるためです。
この章では、後悔しないために、どのような視点で車種を選べば維持費を賢く節約できるのか、その確認事項を分かりやすく解説します。
維持費に影響する車種のポイント
車種によって維持費が変わる主な要因はいくつかあります。これらを知っておくことで、ご自身の使い方に合った、より経済的な車を選びやすくなります。
1. 燃費性能
車の維持費の中で、ガソリン代または電気代が占める割合は大きいものです。燃費の良い車ほど、同じ距離を走るのに必要な燃料が少なく済むため、ランニングコストを抑えることができます。
- 確認事項:
- カタログに記載されている「WLTCモード燃費」を確認しましょう。これは国際的な基準に基づいた、比較的実走行に近い燃費の目安です。
- ハイブリッド車や、最近では軽自動車でも燃費性能が高いモデルが多く出ています。
- ご自身の年間走行距離を考慮し、燃費の良さがどのくらいガソリン代の節約につながるかをイメージしてみましょう。
2. 税金(自動車税・軽自動車税、自動車重量税)
車には毎年かかる税金と、車検時などにかかる税金があります。これらの税額は、車のタイプやサイズによって異なります。
- 確認事項:
- 自動車税(または軽自動車税): 基本的に車の排気量(エンジンの大きさ)で税額が決まります。排気量が小さいほど税金は安くなります。軽自動車は排気量にかかわらず税額が一定で、普通自動車に比べて税額が安く設定されています。
- 自動車重量税: 車両の重さで税額が決まります。車検時などにまとめて支払います。車両重量が軽いほど税金は安くなります。また、燃費や環境性能が良い車には、この税金が減免される「エコカー減税」の制度があります。
- 環境性能割: 車を購入した際に課税される税金で、車の燃費性能に応じて税率が決まります。燃費が良いほど税金が安くなるか、非課税になります。
- 新しい車の場合、エコカー減税によって購入時やその後の自動車税・自動車重量税が軽減される場合があります。対象となる車種か、どのくらいの軽減があるかを確認することは重要です。
3. 自動車保険料
自動車保険料は、運転者の年齢や等級、補償内容によって大きく変わりますが、車の「型式」によっても保険料の基準となる「料率クラス」が設定されており、保険料に影響を与えます。安全性能が高い車や盗難されにくい車は、保険料が安くなる傾向があります。
- 確認事項:
- 検討している車種の「型式別料率クラス」を事前に確認するのは難しい場合もありますが、一般的に、車両本体価格が高い車や修理費用が高額になりやすい車は、車両保険の保険料が高くなる傾向があります。
- 最近の安全装備(衝突被害軽減ブレーキなど)が付いている車は、保険料が割引される制度があります。安全装備は運転の安心にもつながるため、積極的に検討する価値があります。
4. メンテナンス費用
車を安全に長く使うためには、定期的なメンテナンス(点検や部品交換など)が必要です。このメンテナンスにかかる費用も、車種によって差が出ることがあります。
- 確認事項:
- 一般的に、部品が特殊な車や、特定のメーカー・車種は、部品代や工賃が高くなる傾向があります。
- 特定の構造を持つ車(例:ハイブリッドシステムなど)は、通常のガソリン車とは異なるメンテナンスが必要になる場合があり、専門の技術が必要になるため費用が変わる可能性があります。
- 購入を検討している販売店で、その車種の一般的なメンテナンス費用や、お得なメンテナンスパック(数回分の点検・整備がセットになったもの)があるかを確認してみましょう。
5. タイヤサイズ
意外に見落としがちですが、タイヤのサイズによって交換費用が大きく異なります。タイヤサイズが大きいほど、一般的に価格は高くなります。
- 確認事項:
- 検討している車種のタイヤサイズを確認し、一般的な価格帯を把握しておくと良いでしょう。
- 同じ車種でもグレードによってタイヤサイズが異なる場合があります。
維持費を考慮した賢い車種選びのステップ
これらの維持費に関わるポイントを踏まえて、実際に車種を選ぶ際のステップをご紹介します。
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ご自身の使い方を見つめ直す:
- 年間どれくらいの距離を走るか(近距離中心か、長距離も走るか)。
- どのような目的で車を使うか(買い物、通院、趣味、旅行など)。
- 何人くらい乗ることが多いか。
- これらの使い方によって、必要な車のサイズや性能が決まり、維持費にも影響します。例えば、近距離中心で荷物もそれほど多くないなら、軽自動車やコンパクトカーが経済的な選択肢となることが多いです。
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気になる車種の維持費を比較する:
- 候補となる車種をいくつか選び、ご紹介した燃費、税金、メンテナンス費用などの情報を集めて比較してみましょう。
- 購入時の車両価格だけでなく、数年間乗る場合の維持費の総額を大まかにシミュレーションしてみると、全体像が見えやすくなります。
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販売店で具体的な質問をする:
- 検討している車種について、販売店の担当者に「この車の年間維持費はどれくらいですか?」「エコカー減税の対象ですか?」「メンテナンスはどのくらいの頻度で必要ですか?」など、具体的な質問をしてみましょう。
- 試乗を通じて、実際の運転のしやすさや燃費計なども確認できます。
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安全装備も考慮に入れる:
- 維持費だけでなく、安全機能は運転される方の安心・安全に直結します。衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制装置など、高齢運転者向けの安全運転サポート機能を備えた車を選ぶことは非常に重要です。これらの機能が付いていることで保険料が割引になる場合もあります。
まとめ:後悔しない車種選びのために
車の維持費は、購入後のカーライフを大きく左右する要素です。特に維持費を抑えたいとお考えの場合は、購入する「車種」自体を慎重に選ぶことが何よりも大切です。
燃費、税金、保険料、メンテナンス費用など、車種によって異なる維持費のポイントを理解し、ご自身の使い方と照らし合わせながら、総合的に判断することをお勧めします。
この記事が、あなたが後悔しない、そして経済的にも安心できる車種を選ぶための一助となれば幸いです。時間をかけてじっくりと比較検討し、あなたにぴったりの一台を見つけてください。