後悔しない!車購入前に確認すべき費用と維持費の考え方
車は私たちの生活を豊かにしてくれる大切な存在ですが、購入時にはまとまった費用がかかりますし、購入した後も様々な維持費が発生します。特に、年金生活の中で車の維持費が家計に負担になっていると感じている方もいらっしゃるかもしれません。
後悔しない車の購入のためには、車両本体価格だけでなく、購入時にかかる諸費用や、その後の維持費をしっかりと把握し、全体像を理解することが非常に重要です。
この記事では、車の購入を検討するにあたって、購入前に確認しておくべき費用と維持費に関する考え方について、分かりやすく解説いたします。
車の購入時にかかる費用とは?
新しい車を手に入れる際には、車両本体価格以外にも様々な費用が発生します。これらの「諸費用(しょしょけいひ)」は、車の種類や購入方法、地域などによって異なりますが、決して無視できない金額になります。主な諸費用は以下の通りです。
- 税金:
- 自動車税(または軽自動車税): 車を購入した翌年度から毎年課税される税金です。排気量や車の種類(軽自動車か普通車かなど)によって税額が決まります。購入時には、年度の残りの期間に応じた税金を納めます。
- 自動車重量税: 車両の重さに応じて課税される税金で、新車購入時や車検時にまとめて支払います。環境性能に優れた車に対しては、「エコカー減税(エコカーげんぜい)」という税金の負担が軽くなる制度が適用される場合があります。
- 消費税: 車両本体価格やオプション、諸費用の一部にかかる税金です。
- 保険料:
- 自賠責保険料(じばいせきほけんりょう): すべての車の所有者に加入が義務付けられている保険です。人身事故による損害を補償するためのもので、新車購入時や車検時にまとめて支払います。
- 自動車任意保険料(じどうしゃにんいほけんりょう): 加入は義務ではありませんが、自賠責保険だけでは補償が不十分なため、ほとんどの方が加入しています。対人・対物賠償、自身の怪我、車両の損害などを補償するもので、補償内容や運転者の年齢、等級などによって保険料が大きく変わります。購入時から加入が必要です。
- 登録等に関する費用:
- 検査登録手続代行費用(けんさとうろくてつづきだいこうひよう): 新しい車の所有者を国に登録するための手続きを販売店に依頼する場合にかかる費用です。
- 車庫証明手続代行費用(しゃこしょうめいてつづきだいこうひよう): 車を保管する場所があることを証明するための手続きを販売店に依頼する場合にかかる費用です。
- 納車費用(のうしゃひよう): 購入した車を自宅などに届けてもらう場合にかかる費用です。
- リサイクル料金:
- 車を将来廃車する際に必要なリサイクル費用を、購入時に支払うものです。
これらの諸費用は、一般的に車両本体価格の10%~20%程度になると言われています。見積もりを受け取った際には、車両本体価格だけでなく、これらの諸費用が合計でいくらになるのか、そしてそれぞれどのような費用なのかをしっかりと確認することが大切です。不明な点は遠慮なく販売店の担当者に質問しましょう。
車の維持費にはどのようなものがあるか?
車を所有している限り、定期的または必要に応じて様々な費用がかかります。これらの「維持費(いじひ)」をあらかじめ把握しておくことで、購入後の家計負担を計画的に管理できます。主な維持費は以下の通りです。
- ガソリン代(または電気代など): 走行距離や車の燃費性能、燃料の種類(ガソリン、軽油、電気など)、燃料価格によって変動します。
- 税金:
- 自動車税(または軽自動車税): 毎年春頃に納税通知書が届き、1年分を支払います。
- 自動車重量税: 車検時に2年分(または3年分)を支払います。
- 保険料:
- 自動車任意保険料: 通常は1年ごとに契約を更新し、保険料を支払います。保険会社や契約内容、運転歴などによって保険料は大きく変わります。定期的に保険内容や料金を見直すことで、節約できる場合があります。
- メンテナンス費用:
- 点検費用: 定期的に車の状態をチェックするための費用です。安全な走行のためには欠かせません。
- 消耗品交換費用: エンジンオイル、タイヤ、バッテリー、ワイパーゴムなど、使っているうちに消耗する部品の交換費用です。車の種類や走行距離、使用状況によって交換頻度や費用は異なります。
- 修理費用: 予期せぬ故障や不具合が発生した場合にかかる費用です。日頃から適切なメンテナンスを行うことで、大きな修理を防げる場合があります。
- 車検費用: 新車登録から3年後、それ以降は2年ごとに受けることが義務付けられている検査にかかる費用です。税金(自動車重量税など)や自賠責保険料も含まれます。
- 駐車場代: 自宅に駐車スペースがない場合や、外出先での駐車にかかる費用です。
これらの維持費は、車の種類(軽自動車か普通車か、年式、燃費性能など)や、年間走行距離、メンテナンスの方法、加入する保険内容などによって大きく異なります。特に、年間の走行距離が長いほどガソリン代やメンテナンス費用は増える傾向にあります。
後悔しないために!購入費用と維持費をセットで考える重要性
車の購入を検討する際に、車両本体価格の安さだけで決めてしまうと、後で維持費の負担が想定より大きかったと後悔する可能性があります。
例えば、車両価格が安い車でも、燃費が悪ければ毎日のガソリン代が多くかかります。また、年式が古い車や走行距離が多い中古車は、購入価格は抑えられても、修理や部品交換の頻度が高くなり、結果的にメンテナンス費用がかさんでしまうことも考えられます。
逆に、購入時の価格が少し高くても、燃費が非常に良い車や、税金が優遇されるエコカー、安全装備が充実していて保険料が割引になる可能性のある車を選ぶことで、長期的に見た維持費を抑えられることがあります。
ご自身の現在のライフスタイル(年間どれくらい車を使うか、どのような道を走るか、何年くらい乗りたいかなど)を考慮し、購入費用だけでなく、その後のガソリン代、税金、保険料、メンテナンス費用などを合わせて、年間でどれくらいの費用がかかりそうか、大まかにシミュレーションしてみることが大切です。
維持費を賢く抑えるための具体的な方法
車の維持費を抑えるために、購入前に検討できることや、購入後に実践できることがあります。
- 燃費の良い車を選ぶ: 毎日のガソリン代は維持費の中でも大きな割合を占めることがあります。ご自身の走行距離を考慮し、実燃費が良い車種を選ぶことは、長期的な節約につながります。
- 自動車保険を見直す:
- 必要な補償内容を確認する: 必要以上に手厚い補償をつけていないか、見直してみましょう。ただし、万が一に備える大切な保険ですので、必要な補償は削らないように注意が必要です。
- 運転者限定や年齢条件を設定する: ご自身以外に運転する人がいない場合は、運転者を限定することで保険料が安くなることがあります。
- 複数の保険会社を比較検討する: 同じような補償内容でも、保険会社によって保険料は異なります。複数の保険会社の見積もりを比較してみることをお勧めします。インターネットで見積もりを取ることもできますし、保険代理店に相談することも可能です。
- 安全運転支援機能付きの車を検討する: 近年、「ASV割引(先進安全自動車割引)」など、衝突被害軽減ブレーキなどの安全運転を支援する機能が付いた車は、保険料が割引になる場合があります。
- 税金や補助金制度を活用する:
- エコカー減税: 燃費基準などを満たした車は、自動車重量税や自動車税(環境性能割)が軽減されます。対象となる車種や軽減率は定期的に見直されますので、購入を検討している車の情報を確認しましょう。
- サポカー補助金: 国や自治体によっては、高齢運転者による事故防止対策として、安全運転支援機能(衝突被害軽減ブレーキ、ペダル踏み間違い急発進抑制装置など)が付いた「セーフティ・サポートカーS(通称:サポカーS)」などの購入に対して補助金が交付される場合があります。これらの制度は期間や対象に条件がありますので、最新の情報を国土交通省や経済産業省のウェブサイト、お住まいの自治体、または自動車販売店で確認することをお勧めします。
- 適切な頻度でメンテナンスを行う: 定期的に点検を受けたり、エンジンオイルなどの消耗品を適切な時期に交換したりすることで、車の調子を良好に保ち、燃費の悪化を防いだり、予期せぬ故障による高額な修理費用を回避したりすることにつながります。車の取扱説明書に記載されている点検・交換時期の目安を確認しましょう。
車購入前の確認事項チェックリスト
後悔しない車選びのために、購入前に以下の項目をチェックリストとして活用してみてください。
- 購入費用について:
- [ ] 車両本体価格だけでなく、登録費用、税金、保険料(自賠責・任意)、リサイクル料金などの「諸費用」を含めた総支払額を確認しましたか?
- [ ] 見積書に記載されている諸費用の一つ一つが、何のための費用か理解できていますか?不明な点は販売店に質問しましたか?
- [ ] 頭金やローンの返済計画は無理のないものですか?
- 維持費について:
- [ ] 年間のガソリン代はどのくらいになりそうか、おおよそ計算しましたか?(年間走行距離 × 燃費 ÷ 燃料単価)
- [ ] 毎年かかる自動車税(または軽自動車税)の金額を確認しましたか?
- [ ] 加入を検討している自動車任意保険の保険料は、年間いくらになりそうか確認しましたか?複数の保険会社で比較検討しましたか?
- [ ] 車検費用(税金、保険料含む)は、2年ごとにまとまった費用がかかることを理解していますか?
- [ ] エンジンオイルやタイヤ交換など、定期的なメンテナンスにかかる費用について、おおよその目安を確認しましたか?
- [ ] これらの維持費の合計を考えた時に、家計に無理なく支払っていける金額ですか?
- 税金・補助金制度について:
- [ ] 検討している車が「エコカー減税」の対象になるか確認しましたか?どのくらい税金が安くなりますか?
- [ ] 「サポカー補助金」など、利用できる補助金制度がないか確認しましたか?対象になる場合は、どのような手続きが必要か確認しましたか?(販売店や自治体に相談)
- 車の選択について:
- [ ] ご自身の普段の車の使い方(近距離が多い、長距離も運転する、荷物をよく積むなど)に合った車種ですか?
- [ ] 燃費性能は、維持費を抑える上で納得できるレベルですか?
- [ ] 安全運転支援機能など、ご自身にとって必要だと思う機能は付いていますか?それが維持費(保険料)にどう影響するか確認しましたか?
まとめ
車の購入は人生の中でも大きな買い物のひとつです。後悔しないためには、車両本体価格だけでなく、購入時にかかる様々な諸費用、そして購入後の長期的な維持費をしっかりと見通すことが何よりも大切です。
特に維持費は、車の種類や使い方、そしてご自身で選ぶ保険やメンテナンスの方法によって大きく変わります。この記事でご紹介した費用や維持費を賢く抑えるための方法を参考に、ご自身のライフスタイルに合った、無理なく維持していける一台を見つけてください。
不明な点や不安な点があれば、遠慮せずに自動車販売店や保険の専門家などに相談し、納得した上で購入の決断をすることをお勧めします。