維持費が厳しいと感じたら:賢く手放すための費用と手続きガイド
維持費が負担になってきたと感じたら、車を手放すことも選択肢です
年金生活になり、毎月の収入が限られる中で、車の維持費が家計を圧迫していると感じる方もいらっしゃるかもしれません。自動車税、自動車保険、車検費用、ガソリン代、メンテナンス代など、車を維持するには様々な費用がかかります。
「もうあまり乗らないのに、これだけお金がかかるのはもったいない」 「維持費が負担で、家計が苦しい」
もし、このように感じていらっしゃるのであれば、車を手放すことも一つの選択肢として考えてみる時期かもしれません。車を手放すことで、これまでかかっていた維持費の負担から解放され、家計に余裕が生まれる可能性があります。
ただし、車を手放す際にも、いくつかの費用や手続きが必要になります。これらを事前にしっかりと把握しておかないと、「思っていたよりお金がかかった」「手続きが複雑で大変だった」と、後から後悔することになりかねません。
この記事では、車を手放す際に知っておくべき「費用」と「手続き」について、分かりやすくご説明いたします。専門的な内容は避け、あなたがスムーズに、そして賢く車を手放すためのポイントをお伝えします。
車を手放す主な方法:売却と廃車
車を手放す方法は、大きく分けて二つあります。
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売却:
- 中古車買取業者に買い取ってもらう
- 新しい車を購入する際に、ディーラーに下取りに出す
この方法では、車の価値に応じてお金を受け取ることができます。まだ比較的新しい車や走行距離が少ない車、人気の車種などは、高く売れる可能性があります。
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廃車:
- 車を解体して、二度と乗れない状態にする(永久抹消登録)
- 一時的に車の使用をやめ、税金や保険料の支払いを止める(一時抹消登録)
廃車は、車の価値がほとんどない場合や、長期的に使用しない場合に選ばれる方法です。売却とは異なり、基本的にはお金を受け取ることはできません。むしろ、手続きや解体に費用がかかることが一般的です。
どちらの方法を選ぶかは、お持ちの車の状態や、今後どのようにしたいかによって異なります。まずは、それぞれの方法にかかる費用や手続きを確認してみましょう。
車を手放す際にかかる費用
車を手放す際に「かかる費用」は、選ぶ方法や状況によって大きく変わります。また、逆にお金が「戻ってくる(還付される)」場合もあります。
売却(買取・下取り)の場合
基本的に、車の価値に応じてお金を受け取ることができますが、以下の費用が発生する可能性があります。
- 手続き代行費用: 買取業者やディーラーに名義変更や抹消登録の手続きを代行してもらう場合にかかる費用です。無料の場合もありますが、数千円から1万円程度かかることがあります。
- 査定費用: 基本的に無料ですが、一部の業者では有料の場合もあります。事前に確認しましょう。
- その他手数料: 書類作成費用などがかかる場合もあります。
【ここが重要】税金の還付がある場合も
車を売却して名義変更(または抹消登録)をすると、納めすぎた税金が戻ってくる(還付される)ことがあります。これは特に、年度の途中で売却した場合に発生します。
- 自動車税: 4月1日時点の所有者に課税される税金です。年度の途中で車を売却し、翌月から3月までの期間分が月割りで還付される場合があります。還付金は、手続きが完了してから数ヶ月後に届く「納税通知書」に記載された口座に振り込まれるのが一般的です。
- 自動車重量税: 車検時に次の車検までの期間分をまとめて支払う税金です。車検の残存期間が1ヶ月以上ある状態で廃車手続き(永久抹消登録)を行った場合に還付されます。売却の場合は、基本的に還付はありませんが、新しい所有者が継続して車を使用する場合は、残存期間分の税金も車の価値の一部として評価されることがあります。
- 自賠責保険料: 車検時に次の車検までの期間分をまとめて支払う保険料です。車検の残存期間が1ヶ月以上ある状態で廃車手続き(永久抹消登録)を行った場合に、保険会社に申請することで還付されます。売却の場合は、基本的に還付はありませんが、自賠責保険も車両の一部として次の所有者に引き継がれることが一般的です。
ポイント: 売却の場合は、税金や保険料の還付は業者によって対応が異なります。還付されるはずの金額が売却価格に含まれているのか、別途還付手続きが必要なのかを契約前にしっかり確認することが大切です。
廃車(永久抹消登録)の場合
車を解体して廃車にする場合、お金を受け取ることはほとんどなく、むしろ以下の費用がかかります。
- 解体費用: 車を物理的に解体するための費用です。車の大きさや状態によって異なりますが、1万円〜2万円程度が目安です。
- 手続き費用(抹消登録費用): 運輸支局(軽自動車の場合は軽自動車検査協会)で抹消登録を行うための費用です。書類代などで数百円程度かかります。行政書士などの専門家に代行を依頼する場合は、別途1万円〜2万円程度の代行手数料がかかります。
- レッカー代: 車が自走できない場合や、解体場所まで運搬が必要な場合に発生します。距離によって費用は異なります。
【ここが重要】廃車の場合も税金の還付があります
永久抹消登録を行った場合は、売却の場合と同様に税金や自賠責保険料の還付を受けることができます。
- 自動車税: 永久抹消登録が完了した翌月から3月までの期間分が月割りで還付されます。
- 自動車重量税: 車検の残存期間が1ヶ月以上ある状態で永久抹消登録を行った場合に還付されます。
- 自賠責保険料: 車検の残存期間が1ヶ月以上ある状態で永久抹消登録を行った場合に、保険会社に申請することで還付されます。
ポイント: 廃車の場合は、税金の還付手続きは自分で行うか、代行業者に依頼する必要があります。還付金は手続き後数ヶ月で振り込まれることが多いです。
一時抹消登録の場合
一時的に車の使用をやめる手続きです。車を保管しておく場所があり、将来再び使用する可能性がある場合に選びます。
- 手続き費用: 運輸支局(軽自動車の場合は軽自動車検査協会)で一時抹消登録を行うための費用です。書類代などで数百円程度かかります。行政書士などの専門家に代行を依頼する場合は、別途1万円〜2万円程度の代行手数料がかかります。
- 保管費用: 車を置いておく場所の費用がかかります。
一時抹消登録をすると、自動車税の支払いが不要になります。自動車重量税と自賠責保険は、有効期間が残っていても還付はありません(再び使用する際に、残存期間を引き継げる場合もあります)。再び使用する際は、新規登録や車検が必要になり、その際に再度税金や保険料の支払いが発生します。
車を手放す際の具体的な手続き
車を手放す方法が決まったら、次はその手続きを進めます。必要な書類や手順は、売却か廃車かによって異なります。
売却(買取・下取り)の手続き
買取業者やディーラーに依頼する場合、多くの手続きを代行してもらえます。あなたが準備する必要があるのは主に以下の書類です。
- 自動車検査証(車検証): 車両の情報が記載された書類です。
- 自賠責保険証明書: 強制保険の証明書です。
- 自動車税納税証明書: 自動車税を納めたことを証明する書類です。
- 印鑑登録証明書: 実印と印鑑証明書が必要です。区役所や市役所で取得できます。発行から3ヶ月以内のものが必要になることが多いです。
- 実印: 印鑑登録証明書に登録された印鑑です。
- 委任状: 名義変更や抹消登録の手続きを業者に委任するための書類です。業者が用意してくれますので、実印を押印します。
- 譲渡証明書: 車の所有権を新しい所有者(業者)に移すことを証明する書類です。業者が用意してくれますので、実印を押印します。
- リサイクル券: 自動車リサイクル法の料金を支払ったことを証明する書類です。
その他、住民票(車検証の住所と印鑑証明書の住所が異なる場合など)が必要になることもあります。これらの書類を準備し、業者に車を引き渡せば、残りの名義変更などの手続きは基本的に業者が行ってくれます。
廃車(永久抹消登録)の手続き
永久抹消登録の手続きは、自分で行うこともできますが、解体業者や行政書士などの専門家に依頼することも可能です。
【自分で手続きする場合】
- 車を解体業者に持ち込み、解体を依頼: 解体後、「移動報告番号」と「解体記録日付」を受け取ります。
- 必要書類の準備:
- 自動車検査証(車検証)
- 印鑑登録証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
- 実印
- 申請書(運輸支局にあります)
- 手数料納付書(運輸支局にあります)
- リサイクル券
- ナンバープレート(前後2枚)
- 運輸支局での手続き: 準備した書類とナンバープレートを持って運輸支局に行き、永久抹消登録の申請を行います。
【専門家に依頼する場合】
解体業者や廃車手続きの代行業者、行政書士などに依頼すれば、上記の手続きを全て代行してもらえます。あなたは必要書類を準備し、委任状と共にお渡しするだけで済みます。費用はかかりますが、手間や時間を大幅に省くことができます。
注意点: ローンが残っている車や、車の所有者があなたではない(ローン会社やディーラーになっている)場合は、「所有権解除」の手続きが別途必要になります。これは、車の所有者をローン会社などからあなた自身に変更する手続きです。ローン会社などに連絡して、必要書類を受け取る必要があります。
後悔しないために:手放す際のチェックポイント
賢く、そして後悔なく車を手放すために、以下の点に注意しましょう。
- 複数の業者から見積もりを取る: 売却の場合、複数の買取業者に査定を依頼し、価格や条件を比較検討しましょう。廃車の場合も、複数の解体業者や代行業者から費用見積もりを取り、サービス内容(レッカー代が含まれるかなど)を確認しましょう。
- 還付金の確認: 売却・廃車どちらの場合も、税金や保険料の還付があるか、ある場合はその金額や受け取り方法を業者や手続き窓口にしっかり確認しましょう。特に売却の場合は、還付金が売却価格にどう反映されているのかを明確にすることが大切です。
- 手続き完了の確認: 手続きを業者に代行してもらった場合でも、名義変更や抹消登録がきちんと完了したか、運輸支局などで確認することをお勧めします。手続きが遅れると、思わぬ税金の請求などが来る可能性があります。
- 個人情報の取り扱い: 売却や廃車を依頼する業者や解体業者が、適切にあなたの個人情報や車の情報を管理・抹消してくれるか確認しましょう。
まとめ:維持費の負担を減らすための一歩として
車を手放すという決断は、決して軽いものではないかもしれません。しかし、維持費が家計の大きな負担になっているのであれば、真剣に検討すべき選択肢の一つです。
この記事でご紹介したように、車を手放す際には、売却と廃車の方法があり、それぞれにかかる費用や手続きが異なります。また、税金などが還付される可能性もあります。
焦らず、まずはご自身の車の状態や今後について考え、売却と廃車のどちらが適しているか、費用はどれくらいかかるかを確認してみましょう。必要であれば、信頼できる買取業者や廃車手続きの専門家に相談することも有効です。
適切な手順で手放すことで、維持費の負担から解放され、より安心して年金生活を送ることができるはずです。後悔しないためにも、事前にしっかりと情報収集し、計画的に進めることが大切です。