安全装備付き車の維持費は?年金生活で後悔しない購入・維持のポイント
高まる安全運転への意識と安全装備付き車
近年、安全運転への意識が高まり、車に様々な「安全装備」が搭載されることが一般的になりました。衝突を自動で避ける機能や、アクセルとブレーキの踏み間違いを防ぐ機能など、これらの装備は運転を助け、万が一の事故を防ぐ心強い味方となります。
一方で、安全装備付きの車は、そうでない車に比べて車両価格が高くなる傾向があります。年金生活を送る皆様の中には、「安全のためには気になるけれど、維持費が増えるのではないか」「費用対効果はどうなのだろうか」と不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、安全装備付きの車を選ぶ際に知っておきたい、購入費用と特に気になる維持費について、分かりやすく解説いたします。安全と費用の両面から後悔しないためのポイントを整理し、皆様の車選びの一助となれば幸いです。
代表的な安全装備とその役割
まずは、どのような安全装備があるのか、主な例とその役割をご紹介します。
- 衝突被害軽減ブレーキ: 前方の車や歩行者を検知し、衝突の可能性がある場合に警告したり、自動でブレーキをかけたりして、衝突の被害を軽減または回避する機能です。
- 誤発進抑制機能: 駐車時などにアクセルとブレーキを踏み間違えてしまった場合、急な発進を防ぎ、壁や障害物への衝突を避ける機能です。
- 車線逸脱抑制(警報)機能: 走行中に車線をふらついて逸脱しそうになった場合に、警告したり、ハンドル操作をアシストしたりして、車線を維持できるように助ける機能です。
- アダプティブクルーズコントロール(ACC): 設定した速度で前方の車との車間距離を保ちながら追従走行する機能です。高速道路などでの運転の負担を軽減します。
これらの装備は、特にヒヤリとする場面での操作ミスや判断の遅れを補い、事故のリスクを減らすことに繋がります。ご自身の運転に自信がなくなってきたと感じる方や、万が一の備えを重視する方にとって、安心感を与えてくれるでしょう。
安全装備付き車の購入費用について
安全装備が搭載されている分、一般的に同じクラスの装備がない車と比較すると、車両本体価格は高くなります。これは、高度なセンサーやカメラ、制御システムなどの部品が必要となるためです。
ただし、新しい車に安全装備が搭載されていることが多いため、結果として燃費性能が高く、エコカー減税の対象となる可能性が高まります。エコカー減税とは、燃費や環境性能に優れた車にかかる税金(環境性能割、自動車重量税など)が減税される制度です。これにより、車両価格の一部上乗せ分が、税金の軽減で多少なりとも相殺される可能性もあります。
購入時には、車両本体価格だけでなく、税金や保険料、諸費用など全てを含めた総額で検討することが重要です。安全装備の有無だけでなく、車種全体の価格や性能、適用される減税などを総合的に比較検討してください。
安全装備付き車の維持費について
安全装備付き車は、購入費用だけでなく、その後の維持費にも影響を与える場合があります。特に考慮すべきは保険料とメンテナンス費用です。
自動車保険料への影響:ASV割引について
安全装備の中でも、特に先進的な安全技術(自動ブレーキなど)を搭載した車は、「ASV(先進安全自動車)」に区分され、自動車保険料の割引を受けられる場合があります。これを「ASV割引」などと呼びます。
割引率は保険会社や車種、搭載されている安全装備の種類によって異なりますが、自家用乗用車の場合、保険料が数パーセント割引されることが一般的です。例えば、年間の保険料が大きく削減できる可能性があります。
ただし、この割引を受けるためには、保険会社が定める条件を満たす必要があります。検討している車がASV割引の対象となるか、どれくらいの割引率が適用されるかは、必ず保険会社に事前に確認することをおすすめします。複数の保険会社で見積もりを取り、比較検討することも賢い選択です。
メンテナンス費用への影響
安全装備は、カメラやレーダー、センサーなどの精密機器によって成り立っています。これらの機器や関連するシステムが故障した場合、従来の車に比べて修理費用が高額になる可能性があります。
また、定期的な点検や、センサーの調整(エーミングと呼ばれる作業)が必要になるケースもあります。特にフロントガラスの交換時などに、ガラスに付いているカメラやセンサーの再調整が必要になることがあり、その費用がかかることがあります。
しかし、適切なメンテナンスを行うことで、安全装備の性能を維持し、事故を防ぐ確率を高めることができます。万が一の事故が発生した場合にかかる修理費用や、失われる安心感を考えれば、安全装備のメンテナンス費用は決して無駄な出費ではないと言えるでしょう。
税金や燃費への影響
前述の通り、安全装備そのものに直接かかる税金はありません。また、安全装備が直接燃費に大きく影響することも少ないでしょう。しかし、安全装備が搭載されている新しい車は、最新のエンジンや軽量化技術なども導入されていることが多く、結果として燃費性能が高い傾向にあります。燃費の良い車は、日々のガソリン代の節約に繋がり、維持費全体を抑えることに貢献します。
後悔しないために:購入前に確認すべきポイント
安全装備付き車の購入で後悔しないためには、以下の点を特に確認することをおすすめします。
- 必要な安全装備を見極める: 全ての安全装備が必要とは限りません。ご自身の運転頻度、主な走行場所(街中か高速道路か)、運転で不安を感じる点などを考慮し、どのような機能があれば安心かを考えましょう。
- 費用対効果を冷静に判断する: 車両価格の上乗せ分と、保険料割引や事故を防ぐことによる長期的な経済的メリット、そして何より「安心」という精神的なメリットを比較検討しましょう。
- 試乗と操作確認を必ず行う: 実際に検討している車種に試乗し、安全装備がどのように作動するか、警告音や表示は見やすいか、操作は複雑でないかなどを確認しましょう。自分に合わない機能や、操作が難しいと感じる場合は、かえって運転の妨げになる可能性もあります。
- 保険会社にASV割引を具体的に確認する: 検討中の車種がASV割引の対象となるか、具体的な割引率や適用条件を加入予定または現在の保険会社に問い合わせましょう。見積もりを取って比較することも重要です。
- 国の補助金制度を確認する: 高齢者の安全運転支援を目的とした国の補助金制度(例:サポカー補助金など)が実施されている場合があります。対象となる車種や条件、申請方法などを確認し、利用できる場合は活用しましょう。お住まいの自治体で独自の補助金制度を設けている場合もあります。
まとめ
安全装備付きの車は、年金生活における安全な移動をサポートし、大きな安心感を与えてくれる選択肢です。初期費用は高くなる傾向がありますが、自動車保険のASV割引や事故リスクの軽減、そして何より安全な運転環境が得られるという大きなメリットがあります。
後悔しないためには、これらのメリットとデメリット(主に初期費用、メンテナンス費用の一部)を正しく理解し、ご自身の予算や運転状況に合った車を慎重に選ぶことが大切です。
今回ご紹介した確認ポイントを参考に、安全と維持費のバランスを考えて、納得のいく一台を見つけてください。